明日香村飛鳥にある奈良県立万葉文化館。
万葉集の世界へタイムスリップできる体験型ミュージアムとして人気があります。
万葉文化館の玄関口。
お正月飾りの門松が出迎えてくれました。
飛鳥や山の辺の道を散策していれば、おのずと万葉集に描かれた世界に魅了されるようになります。もっと万葉の時代を肌で感じてみたい!そんな方におすすめなのが、飛鳥寺近くにある奈良県立万葉文化館です。
近くの飛鳥資料館に比べれば、設備的にもモダンで今様に造られています。明日香村の旅行を企画している方には、是非この万葉文化館を見て頂きたいと思います。入館者を飽きさせない仕掛けが随所に見られ、飛鳥観光のおすすめスポットとなっています。
万葉文化館の敷地内に復原展示された飛鳥池工房遺跡。
日本最初の鋳造貨幣とされる、富本銭が発掘されたことで一躍その名を知られることになった遺跡です。
富本銭は天武天皇の時代に鋳造された、銅とアンチモンによって造られた貨幣。実は、和同開珎よりも以前に鋳造された貨幣なんです。
遺跡跡とミュージアムが一体化しているなんて、なかなか他所では見られないのではないでしょうか。万葉文化館ならではの演出効果も手伝って、とても魅力的な仕上がりです。
個人客のみならず団体観光客でも、飛鳥池工房遺跡の復原展示を間近で見学することができます。皆で遺跡の上に降り立ってみてはいかがでしょうか。きっとお喜び頂けるものと思われます。
地階の一般展示室に、お面を付けて舞を舞う古代人を発見。
伎楽と呼ばれる舞です。
日本書紀には以下のような記述があります。
推古天皇20年に当たる612年5月に百済人の味摩之(みまし)という人が、呉国で学んだ伎楽を、明日香村豊浦の辺りで少年を集めて教えたという件(くだり)です。
そう言えば、豊浦の難波池の近くで伎楽にまつわる石碑を見たような記憶があります。
聖徳太子も伎楽を奨励したと伝えられ、桜井市の土舞台は芸能発祥の地と言われています。
伎楽面を付けて舞う舞人の手前には、本格的な万葉劇場も用意されています。
万葉劇場の演目は3つあり、万葉ヒロインの額田王や宮廷歌人の柿本人麻呂を主人公にした人形と映像による歌劇、それにアニメーションの「万葉のふるさと」が上演されています。
上演時刻前になると、スタッフの女性が入館者に声を掛けに来て下さいます。
私も何度か万葉劇場を見させて頂きましたが、その充実した照明設備が印象に残ります。万葉歌の漢字や平仮名がステージ上のみならず、観客席にまで映し出されます。まるで耳なし芳一のような演出に、いつの間にか万葉集の世界へと引きずり込まれます。
玄関前に広がる万葉庭園。
万葉集に詠まれた植物などを観賞することができます。
石で組まれた野外ステージも用意されています。
何かのイベントの際に利用されているんでしょうね。万葉庭園の所々には万葉歌碑もあり、万葉ファンには心尽くしの嬉しい舞台設定が整っています。
石舞台古墳の下手にも野外ステージがありますが、屋内の舞台には無い野性味が感じられてイイですよね。より開放的で、万葉の時代に近づけるような気が致します。
富本銭を鋳造する人。
飛鳥池工房遺跡からは、約70点にも及ぶ多くの富本銭が出土しています。
富本銭。
組み立てる前のプラモデルに似ていますね(笑)
鋳型から外したばかりの富本銭は、枝分かれした鋳棹(いざお)と呼ばれる部分で繋がっています。富本銭造りの工程が細かく展示されており、とても興味深く拝見致しました。
エントランスと1階の日本画展示室を結ぶ通路。
通路下の両脇に飛鳥池工房遺跡のレプリカが展示されています。
本物の遺跡はレプリカの真下 ~ 地下4mの場所に埋め戻されているそうです。
万葉時代の食物も展示されていました。
市で売られていたナマコやスハヤリですね。ナマコを煮て干したものが食べられていたようですが、現代でも干しナマコは珍味として人気がありますよね。中国料理の食材として、高価に取引される逸品です。
遷都祭で活躍したせんとくんがお出迎え。
すっかり奈良観光のシンボル的存在になりましたね。団体観光客の方々にとっても、絶好の撮影スポットになりそうです。せんとくんと一緒に記念撮影すれば、家に帰ってからの土産話にもなります(笑)
展望ロビーからは美しい光景が広がります。
大和三山の眺めは特におすすめです。
ゆったりとソファに腰掛けて、心ゆくまで大和の風景を堪能します。
展望ロビーの横には映像ホールも用意されていて、奈良の奥深さと、両手いっぱいの広がりを実感することができます。
さやけしルーム。
見るからに癒しの空間です。
小鳥のさえずりや川のせせらぎ、雨音などを静かな気持ちで体感することができます。万葉人たちが感じていた自然界をそのままに追体験します。
奈良県立万葉文化館の休館日は毎週水曜日。
水曜日が祝日の場合は翌日に振り替えられ、その他にも年末年始と展示替日が休館となります。
近鉄飛鳥駅からのアクセスは徒歩40分ですので、交通手段としてはバスをおすすめ致します。近鉄橿原神宮前駅東口よりバス「万葉文化館西口」下車すぐ、近鉄・JR桜井駅南口よりバス「万葉文化館」下車すぐとなっています。
明日香村観光では外せない万葉文化館。
旅行を取り仕切る幹事の方には是非下調べをして頂いて、皆で万葉文化館を訪れて頂きたいと思います。
団体(20人以上)の入館料は、個人よりも少し割引が適用されます。
一般480円、高校・大学生400円、小・中学生240円となっています。
<奈良県立万葉文化館の関連情報>
お問合わせ窓口 ; TEL 0744-42-6003