雄略天皇の逸話に彩られた蜻蛉の滝。
吉野郡川上村西河に、美しい虹の掛かることで有名な蜻蛉の滝があります。
蜻蛉の滝の虹光(にじっこう)。
滝の飛沫が大自然のアートを演出します。
蜻蛉の滝の傍らに佇む不動堂。
この辺りは蜻蛉野(あきつの)と呼ばれる場所で、かつての仙龍寺跡として知られます。
858mの青根ヶ峯から流れ落ちる音無川に架かる太鼓橋。
蜻蛉の滝の駐車場に車を停め、太鼓橋を渡って整備された公園へと足を向けます。
蜻蛉の滝の下手にある梵字岩。
大日如来を意味する「ア」という文字が刻まれています。
梵字岩の横から蜻蛉の滝へと続く石段が設けられています。
第21代雄略天皇がこの地を狩りに訪れた時、天皇の臂(ひじ)に虻(あぶ)が食いついたのを、どこからともなく来た蜻蛉(とんぼ)が噛み殺したという伝説に因みます。
蜻蛉(あきつ)はトンボの古語です。
雄略天皇といえば、万葉集の記念すべき第一首目を飾る妻問いの歌が知られます。その万葉歌碑が、長谷寺へ向かう伊勢街道沿いの白山神社にありましたよね。
石段を登って行くと双手に道が分かれていて、左の方に歩を進めると弁天宮がありました。
水にまつわる場所には弁天さんがいらっしゃるものです。
来た道を引き返して、そのまま真っすぐ進んで行くと、目的地の蜻蛉の滝に到着します。
「やまとの水」にも選定されている清らかな滝です。
落差50m、2段から成る蜻蛉の滝。
天武天皇、持統天皇も行幸し、宮人たちも多くこの地を訪れたことが万葉集に記されています。松尾芭蕉や数多くの文人墨客もこの滝を訪れています。名だたる歴史上の人物たちが滝見にやって来た蜻蛉の滝は、見るに値する立派な滝です。
勢いよく流れ落ちる滝の上から撮影。
やっぱり迫力があります!
滝の上手に祀られていた神様。
ここはパワースポット。
ごく自然に手を合わせたくなる空気に満ちていました。
蜻蛉の滝へ続く石段の途中に、静かにお地蔵さんが佇んでおられます。
雄略紀には、「蜻蛉嶋倭(あきづしまやまと) 因りて蜻蛉を讃(ほ)めて、此の地(ところ)を名(なづ)けて蜻蛉野(あきづのをの)とす」 手助けしてくれたトンボを褒めて、地名に蜻蛉を入れた雄略天皇。
今もこの地は、「あきつの小野の里」と呼ばれています。
日本国の異称を秋津島(蜻蛉島)と申します。
「あきづしま」・・・四方を山々に囲まれ、まるでトンボが連なって飛んでいる様子を思わせる大和の地形。雄略天皇が命名した蜻蛉野から、日本の国を表す秋津島へと展開していく歴史には実に興味深いものがあります。
万葉集をメロディに乗せて歌う歌枕直美さんの「国見のうた」の歌詞にも、”あきづ島”という言葉が出てきます。日本の美しい景色が蘇る素敵な古語ですよね。
蜻蛉の滝への車でのアクセスは、吉野町方面より五社トンネルを抜けてすぐ右折し、直進して600mほど。山幸彦のもくもく館、あきつの小野スポーツ公園を通過すると、右手に蜻蛉の滝の駐車場(無料)が見えて参ります。駐車場から蜻蛉の滝へは徒歩5分ほど。
当館大正楼から蜻蛉の滝へは、国道169号線経由で約50分となっています。
お問合わせ窓口 ; TEL 0744-42-6003