HANARART三輪の今西家に続き、その斜め向かいに位置する池田家を訪れてみました。池田家といえば、先代家主が桜井市長をお務めになられていたことで知られます。
「basket」と題する結束バンドを使ったアート作品。
人とのつながり、地域とのつながりを模索するHANARARTならではの作品ではないでしょうか。日用品として普段使われている結束バンドが、今回見事に生まれ変わっています。
池田家。
出格子、虫籠窓、煙出し、屋根看板など、町家独特の意匠が見られる立派な古民家です。今でも、桜井市長をお務めになられた池田栄三郎氏の御子息がお住まいになられています。結束バンドアート作品の前で色々とご説明を頂いたのですが、その方が他ならぬ御子息でいらっしゃいました。
当館で同窓会を開催して頂いたこともあったそうで、その節はお世話になりどうもありがとうございました。
菊の御紋が入ったガラス張りの屋根看板には、「緒環素麺司」と書かれています。明治天皇の天覧をきっかけに掲げられたそうですが、池田家にはその昔、素麺問屋を営んでいた歴史があります。
虫籠のように見える虫籠窓(むしこまど)や、台所などの煙を外に出す目的で作られた煙出し等々、古民家ならではの建築デザインが目を引きます。
これ、結束バンドで作られているんですよね。
その意外性が見る者を惹き付けます。
天井を見上げると、絹糸と結束バンドが蜘蛛の巣のように張り巡らされていました。
ピンと上に跳ねている様子が見て取れますが、まさしく結束バンドを使った作品であることが伺えます。蜘蛛の巣はお互いにどこかで必ずつながっています。インターネットのウェブ空間も世界中に張り巡らされ、お互いに繋がり合っているわけですが、ウェブは英語でWEB(蜘蛛の巣)を意味することを改めて感じさせられる瞬間です。
三輪の他にも、五條新町、御所市名柄、郡山城下町、田原本寺内町、八木札の辻に於いて催されているHANARART2012のイベント。
歴史ある町並みに斬新な現代アートが融合します。
温故知新とでも申しましょうか、新しいものと古いものがお互いに刺激し合って何かが生まれる。そんな期待が膨らむ素敵なイベントが、三輪をはじめとする奈良の町家を活性化させています。
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