大神神社天皇社近くに開花するギンリョウソウ。
斜面に姿を現した銀竜草を下のアングルから捉えます。
銀竜草は光合成をしない植物で、腐植土から養分を得る腐生植物として知られます。首をもたげたその姿は、「うらめしや~」と夏の夜に出てくる幽霊を思わせます。幽霊茸(ユウレイタケ)という別名を持っているのも頷けますよね。
一薬草(イチヤクソウ)科に属する銀竜草。
花期は5月から8月にかけてとされますので、5月の初旬に見頃を迎える大神神社の銀竜草はやや早目です。本物の幽霊が出る時期よりも随分早くその姿を現します。
大神神社の社務所へ上がって行く坂道の傍らにシャガの花が咲いていました。
銀竜草の見られる場所は限られていて、大神神社境内の天皇社、神宝社、活日社の周辺に於いて観察されます。銀竜草の群生地を事前情報でキャッチしていたので、二の鳥居から続く玉砂利の参道を通らずに、自動車お祓い所の前を横切り、社務所へと続く坂道を登って行きます。
崇神天皇を祀る天皇社へ続く石段の脇で見つけた銀竜草。
わずか10cm余りの銀竜草。足元に注意を払っていないと、見過ごして通り過ぎてしまいます。
大神神社末社の天皇社。
階段を登り切った所に天皇社が鎮まります。最上段右手の足元にも、多数の銀竜草が姿を現していました。まばらに咲くという感じではなく、ある一定の場所に群生しています。それはまるで、秋のヒガンバナを連想させます。
面白い角度から撮影してみました(笑)
銀竜草の茎の部分は、「鱗片葉」という葉の退化したものが鱗(うろこ)のように全体を覆っています。花は一つだけ、茎の先に下向きに付きます。その慎ましやかな立ち姿から、銀竜草の花言葉は「はにかみ」とされます。
熊野の神を祀る神宝社の参道脇にも銀竜草の群生が見られます。
湿り気を感じる静かな場所がお好みのようですね。
鱗を身にまとい、首をもたげた龍の姿を彷彿とさせます。
神社の白装束に、注連縄と共にぶら下がる紙垂の白色、神さぶる神社境内には違和感なく溶け込む銀竜草の御姿。思わず手を合わせてしまいます。
天皇社の下手と、神宝社の参道左脇に銀竜草の名札が立てられていました。
事前に情報をキャッチしていないと、見過ごしてしまう人も多いであろう銀竜草。こういう案内があると嬉しいですね。
つつじの花も満開です。
桜の名所として人気を博する大神神社ですが、6月のささゆりまではコレといった見所が無いのかなぁと思っていたのですが、どうやらそんなことはなさそうですね。
銀竜草の茎の部分。
春のつくしを想像させるフォルムです。
落ち葉の養分も吸収しているものと思われます。
お隣の中国では「水晶蘭」と呼ばれているようです。まるで水晶のような澄んだ輝きを解き放ちます。見れば見るほど不思議な植物です。ミステリアスなその容姿と共に、ゴールデンウィークシーズンの名物に育っていくことを秘かに期待しています。
長谷寺のぼたんを楽しんだ後は、大神神社の銀竜草を観賞する。
全く違う二つの世界を楽しむことができるのではないでしょうか。
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