遣唐使として知られる阿倍仲麻呂。
奈良県桜井市の安倍文殊院に仲麻呂の歌碑があります。
金閣浮御堂と阿倍仲麻呂の歌碑。
帰りたくても帰れなかった悲劇の人物として取り上げられることの多い阿倍仲麻呂。
唐の皇帝・玄宗の信頼を得て重用されていた仲麻呂・・・
最初の内は本人の希望もあって帰国しなかったようですが、望郷の念が無くなったわけではなく、日に日に募る思いを抑えることができなくなり、ついに帰国の途に就くことになります。
阿倍仲麻呂の望郷の詩。
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも
古今和歌集に収められている、あまりにも有名な歌ですよね。
帰国の途に就く船出の際、朗朗と詠まれた歌であると伝えられます。
安倍文殊院の本堂とコスモス。
ついに巡って来た帰国への航海でしたが、あえなく暴風雨に遭い、はるか安南(ベトナム)まで流されることになります。
土着民に殺されかけながら、命からがら長安に帰り着いた仲麻呂でしたが、その後も日本へ帰国することなく唐の地に没することになります。
才能に恵まれた仲麻呂は、唐の皇帝から大変愛されたと伝えられます。
今の時代とは違い、海を渡る航海には命の危険が付きまといました。
それでも捨てきれぬ故郷への思い・・・。
人は誰しも故郷に”癒し”を感じるものなのではないでしょうか。
時を越えて仲麻呂の思いが伝わってくるような気が致します。
◇仲麻呂望郷しだれ桜 本堂向って右前に開花します。
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