興福寺東金堂と五重塔。
国宝建築物の前に、「祈」という文字が浮かび上がります。
夏の風物詩「なら燈花会」の準備が進められます。
「祈る」という言葉の語源はどこにあるのでしょうか?
祈るとは、口に出して述べることを意味する「宣る(のる)」という古語に接頭語の「い」が付いた形ではないかと言われます。「祈る」は宣(の)る、呪(のろ)ふと関係があるのではないかとする説が有力です。
口に出して、言葉の形で神に幸いを願うことを意味します。
現在の祈りは、心の中で静かに行われます。
言葉には出さない形で、秘かに願い事を心の中でつぶやくことが祈りだと思っていましたが、祈りの起源には違った意味合いがあるのですね。
祈るの語源は、「斎み(いみ)+宣る(のる)」に由来するという説もあります。
斎み(いみ)とは、身を清め慎むことを意味する古語。災厄を防いだり、健康を守るため、魂が外に出ないように潔斎期間を設けます。
祈りが「呪ふ」に関係しているというのも面白い視点ですよね。
悪魔や狐を人に取り付かせることを、「祈り付く」と表現することがありますが、祈りにも様々な目的があるようです。
いずれにしても、声に出して祈願することが祈りの原形でした。
お寺の鐘や仏壇の木魚、神社の鈴や拍手(かしわで)などにも神様へ近づく役割があるのではないでしょうか。音によって神様との境界線を越えていく、そんな感覚を昔の人たちは持っていたような気が致します。
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