国指定史跡の花山塚古墳で知られる桜井市の粟原(おおばら)。
桜の名所にもなっている粟原川は女寄峠から北西へ流れ、国道166号線沿いを忍阪辺りまで並行して桜井市街へと入って行きます。粟原川の桜は粟原川の下流地帯で見られ、寺川の支流エリア付近で楽しめます。
満開を迎えた粟原川の桜。
花見を楽しむ期間は限られています。「また時間の空いた時に」なんて言っていると、あっという間に桜前線は過ぎ去ってしまいます。思い立ったら即行動が花見見物の鉄則です。
粟原川沿いに到着すると、満開の桜の下で花見を楽しむ数組のグループが見られました。平日の昼下がりではありますが、さすがに知る人ぞ知る穴場の花見スポットです。
粟原川は一級河川なんですね。
国道169号線を三輪から桜井方面へ向かう時、毎回必ず通る場所に桜が開花します。車を降りて川沿いを歩くのは随分久しぶりです。灯台もと暗しなのでしょうか、こんなに近い場所にも関わらず、粟原川の桜をゆっくり楽しむ余裕すら持ち合わせていませんでした。
見事な桜並木が川沿いの両岸に続いています。
桜井駅からも徒歩5分ほどでアクセスできる立地です。山の辺の道の散策に桜井駅を利用するハイカーを数多く見かけますが、ちょっと寄り道をすれば、満開の粟原川の桜を堪能することができます。川沿いには民家も軒を連ねており、近くに住む人が羨ましく思えてきます。
川合橋ですね。
この辺りの地名を川合と言いますが、粟殿(おおどの)という地名も桜が開花する場所の近くに見られます。粟原川に粟殿、同じ「粟」の文字が見られますね。ちょっと気になって調べてみたのですが、粟殿ではその昔、粟(あわ)を栽培していたのではないかと思われる節があります。
「崇神紀」48年条に ”三輪山に登り縄を四方に引き渡し、粟を食む雀を逐ふ” という記述が見えます。三輪山麓に粟田のあったことが類推されます。
粟殿の「殿」は佳字で、元は「田」であったものと思われます。
音読みにすれば、「殿」も「田」もどちらもデンと読みますからね。奈良市内にある神殿(こどの)という地名も同じ変遷を辿ったのではないでしょうか。
岸には石段が設けられており、下まで降りて行くことができます。
より粟原川を身近に感じながら花見を楽しむことも出来るようです。
散った桜の花びらも綺麗ですね。
はかない美しさを表現する桜の花は、私たち日本人の心の奥底に共通認識として広がっています。誰もがその美に酔い痴れる桜の花びら。そこに言葉は要らないようです。
提灯がぶら下がっていますね。
夜桜見物を楽しむ人もいらっしゃるのでしょうか。
国道169号線と粟原川の桜。
奈良へ通じる国道169号線を車で走っていると、桜井市立埋蔵文化センター前に咲く桜と粟原川の桜が特によく目に付きます。この辺りは桜井市役所にも程近く、桜井市の中心エリアと言っていいのではないでしょうか。
三輪山と桜の風景に神さぶる美しさを感じ、粟原川の桜には普段の生活に密着した心の癒しを感じます。
花見の場所を考え合わせるなら、安倍文殊院の桜とはしごするのもおすすめです。
今年の桜は駆け足で過ぎ去ってしまい、各地の開花状況から目が離せませんでした。
新聞紙面の開花状況をチェックすると、奈良公園や談山神社の桜は比較的遅くまで楽しむことができるようです。談山神社は山の中にあるため、満開のタイミングが遅くなるのも分かるのですが、奈良公園の桜の満開が遅くなるのはなぜなんでしょうね。今年に限ったことなんでしょうか、それとも例年通りの開花状況ということになるのでしょうか。
飛鳥方面へ抜ける道中に咲く粟原川の桜。
飛鳥寺や石舞台古墳へ向かう途中で、一度お立ち寄りになられることをオススメ致します。
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