2013年度の年頭を飾る恒例のジャンボ花絵が、安倍文殊院の文殊池脇に登場しています。来年の干支は巳。にょろっと舌を出した二匹の蛇が蛇行するように折り重なり、「巳」の文字を浮かび上がらせます。
安倍文殊院の「巳」のジャンボ花絵。
年賀状のデザインに頭を悩ませる中、毎年登場する安倍文殊院の干支を模ったジャンボ花絵は、この上なく有り難い助け船となります。年末にかけて、巳のジャンボ花絵を撮影するため、数多くの方が晴明堂の前の展望台に立たれるのではないでしょうか。
欲を言えば、ジャンボ花絵と金閣浮御堂の間の桜の花が満開だったら言う事無しなのですが(笑) それは無理というものですよね。日本の四季を無視した神様への冒涜になりかねません。
安倍文殊院を訪れたのは、師走間近の11月29日の昼下がり。
紅葉も見ごろを過ぎ、石仏の前には色付いた落ち葉の絨毯が敷き詰められていました。
蛇の舌がご愛嬌ですよね。
蛇の表情を表現するのはなかなか難しいものと思われますが、こうやってニョロッと舌を出しておけばいいアクセントになります。文字通り、蛇行する二匹の蛇。蛇といえば、どうしても大神神社の巳さんを思い出すのですが、蛇の登場する逸話は奈良県内にも数多く残されています。
飛鳥の石造物の一つである「くつな石」も蛇にまつわるエピソードで色付けされています。蛇の姿を「朽ちた縄」に見立てて、「朽ち縄 → くつな」という変遷を辿っています。スピリチュアルな雰囲気たっぷりの「くつな石」ですが、古来人々が抱いてきた蛇に対する神秘的なメッセージが感じ取れます。
金閣浮御堂の前にパンジーの花壇が華を添えます。
以前に訪れた時にはまだ無かった浮御堂前の花壇。いつの間に出来たんでしょうね。被写体としての浮御堂が益々綺麗に映えます。
不動堂向って左側に紅葉が残っていました。
ジャンボ花絵の植え込みは、不動堂の向って右側に広がります。
約8,000株のパンジーで「巳」の文字が作られているそうです。花の少ない冬の時期に、参拝客の目を楽しませてくれるパンジーは実に有り難い存在です。数年前の冬に大阪の中之島界隈を歩いた時も、パンジーの植え込みが通行人の目を輝かせていたのを思い出します。
受験生の合格祈願でおなじみの安倍文殊院。
「合格」の文字は葉ボタンで作られています。合格の文字の上の星マークのような印は、安倍晴明ゆかりの五芒星ですね。魔除けを意味する五芒星は、受験生の大敵である睡魔や緊張を追い払ってくれることでしょう。
弘法大師像と紅葉。
朝日新聞掲載の記事によると、今年のジャンボ花絵のテーマは「門出」なんだそうです。
「巳」は蛇が地中からはい出した姿を現すとされます。巳は方角でいえば南南東、時間でいえば午前10時頃を指します。学校や会社に出向いて、ぼんやりした頭の状態から抜け出し、いよいよエンジン全開モードに突入していく時間帯ですね。太陽も降り注ぎ始め、まさしく門出にふさわしい巳の刻。
年の始めのご挨拶にジャンボ花絵の巳は、まさしく適任ではないでしょうか。
<安倍文殊院観光案内>
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