清らかな湧水がこんこんと湧き出る場所には、それだけでスピリチュアルな雰囲気が漂います。安倍文殊院の白山堂向って左手前に佇む閼伽井古墳にも、ちょうどそのようなオーラが感じられます。
閼伽井古墳。
閼伽(あか)とは梵語 argha の音訳で、器や功徳水、価値あるものを意味します。仏様に捧げるお供え物のことで、主に水や花を指す閼伽という言葉。閼伽水(あかすい)のイメージから、穢れの無い清らかな水を意味するものと思っていましたが、閼伽には器や花という意味もあったんですね。
安倍文殊院の境内には二つの古墳があって、閼伽井古墳は東側に位置しているため、「東古墳」と呼ばれたりもしています。飛鳥時代の指定史跡にもなっている閼伽井古墳。閼伽の水が仏に供える浄水であるとするならば、ここから湧き出る水は今もご本尊様に御供えされているのでしょうか?
閼伽井古墳の案内板。
古墳の右手前には石仏が並び、その奥の方に羨道が垣間見えます。中は薄暗くて見えにくいのですが、かすかに石仏と井戸のようなものが見られます。本能的なものなのでしょうか、どこか井戸には近寄りがたい神秘的な空気が漂います。
家をリフォームするような時にも、他の部分は触ってもいいけれど、井戸だけは絶対に触ってはいけない。そんな風によく言います。改築の際に井戸を触ってはいけない。迷信なのかしれませんが、実しやかにささやかれる言い伝えには妙な説得力があります。
井戸の持つパワーにはそれだけ大きなものがあるという証しなのでしょうか。
閼伽井古墳の正面。
文殊院西古墳に比べると、石室の石組には大らかなものが感じられます。整然としていない分だけ、原始的な崇拝が感じられるスポットになっています。
閼伽井という名前から、日本人の苗字である赤井さんを連想してしまいます。赤井という苗字は、何も赤い井戸という意味ではなく、今目の前にしている清泉の湧き出る閼伽井に由来するのではないか?そんな風にも思えてきます。漢字そのものには意味がなく、漢字を音に当てはめていくというやり方は、古代にはよく見られることです。
真相のほどはいかがなものでしょうか。
安倍文殊院は日本三文殊の第一霊場です。
知恵は湧いてくるものです。頭の中で、良い知恵がこんこんと湧き出る状態を保っていたいものです。知恵の水が湧き出る閼伽井古墳にお参りすることによって、一世一代のひらめきが湧いてくるかもしれません。
合格祈願の受験生も、合格門をくぐって晴明堂にお参りしたら、是非とも閼伽井古墳に詣でることをおすすめ致します。
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