ぷるんぷるんの食感で知られる幻魚(げんげ)。
先日催された米寿のお祝いの席に、ゲンゲの唐揚げをお出し致しました。
げんげの唐揚げ。
コラーゲン豊富なぷるんぷるん食材のゲンゲ。その未体験食感にお客様も大喜びでいらっしゃいました。食べた後に気持ちが若返ったような、そんな気持ちにさせてくれる魚です。
水分をたっぷり含んでいて、とても柔らかい魚です。
体がぷるんぷるんで掴みにくい(笑)
見ての通りのグロテスクな雰囲気漂う魚です。
ゲンゲを獲るための専門の漁は無く、底引き網漁で偶然に引っ掛かったゲンゲが市場を賑わせます。気持ちの悪いその容姿からか、毛嫌いされることも多く、長い間 「下魚(げぎょ)」 の扱いを受けてきました。下魚(げぎょ)が訛って「げんげ」になったとも言われます。
しかしながら、その見た目とは裏腹に実に美味しい魚です。
ゲンゲの尾びれ。
ゲンゲには腹鰭が有りません。背びれと尾びれが長いのが特徴です。
内臓が透けて見えます。
胸びれが細くとがっているところを見ると、どうやら今回入荷したゲンゲは寒天下魚(かんてんげんげ)のようですね。名前の如く、寒天を思わせる歯ざわりです。
揚げ立てのゲンゲの唐揚げ。
片栗粉をまぶして、すぐに油の中へ投入します。水分が多い魚ですから、もたもたしていると、すぐに片栗粉がべと付いてきます。油の中でもずっと音を立てていました。泡も小さくなることはなく、持ち上げてみて振動が箸に伝わってくれば既に火が通っています。
ゲンゲの歯。
顔に近づいてみると、結構かわいらしい魚ではないでしょうか。
このゲンゲは富山湾から入荷致しました。ゲンゲは水深200~800mの場所に生息しています。深海魚らしく、体は扁平で目が大きいのが特徴です。底引き網漁の行われる9月から5月に掛けてが入荷シーズンに当たります。
下魚(げんげ)から幻魚(げんげ)へとその評価を変えつつある昨今、当館の献立の中にも少しずつではありますが、その姿を現している魚です。
湯引きにして酢味噌和えで頂くと、また違った魅力を堪能することができます。
揚げている途中、我慢しきれずに一口頂きました(笑)
この食感!
何度味わってもまた試してみたくなります。
頭も骨もひっくるめて全部、全く気にすることなく頂けます。
仏教の世界では、上品(じょうぼん)や下品(げぼん)といった九品(くほん)の考え方があります。ゲンゲは下の下(げのげ)という声も聞こえてきそうですが、決してそんなことはありません。
ゲンゲの背びれ。
若返りのハーブがローズマリーなら、間違いなく若返りの魚はゲンゲではないでしょうか。神秘的な魅力に満ちたゲンゲを、これからも様々な場面で活用していければと思っています。
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