未盗掘古墳で知られる藤ノ木古墳。
馬具をはじめとする多数の副葬品が発見された当初は、日本国中が大変な騒ぎとなりました。古墳の多くが、その築造後に盗掘の憂き目に遭っています。そのため、石室内部の副葬品類は喪失していることが多いのですが、藤ノ木古墳は状況が違っていました。
斑鳩文化財センターの入口左手に展示される藤ノ木古墳の家形石棺。
国道25号線沿いの斑鳩町役場から北へ少し歩いて行くと、藤ノ木古墳のガイダンスで知られる斑鳩文化財センターがあります。正式名称を斑鳩町文化財活用センターと言い、羨道を模した通路や藤ノ木古墳発掘の映像が視聴できる映像ホールなどがあります。
藤ノ木古墳の石室。
石棺周辺からは須恵器、土師器、石棺内からは金銅製の飾り馬具や金銅製の靴などが発掘されました。さらには、男性のものと推測される人骨が二体発見されました。その内の一体は全身骨で発見され、もう一体の全身は残されていませんでした。
被葬者に関しては、謎が謎を呼ぶ大発見として報道されました。
藤ノ木古墳の発掘調査においては、当時最先端のファイバースコープによる石棺内の撮影が行われました。今ではよく用いられる手法として知られますが、当時は実験的な発掘調査の方法として注目を集めました。
斑鳩文化財センターに展示される馬具と石棺。
藤ノ木古墳のファイバースコープによる発掘調査以後、大阪府の闘鶏山(つげやま)古墳などでも同じ調査法によって、石室内に三角縁神獣鏡があることが確認されています。
石棺を開けることなく、その中の様子を事前にチェックできるファイバースコープ。時代がもたらした文明の利器が、藤ノ木古墳発掘にも役立っていたことを改めて確認致します。
藤ノ木古墳。
ここを真っ直ぐ進んで、扉の前に立ちます。
そうすると、センサーが感知して石室の中に灯りが点されます。ほんのわずかではありますが、古代の神秘的な空間が目の前に蘇ります。
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