長岳寺の本堂向って右脇にカラーが開花していました。
初夏のカキツバタを見るために訪れた長岳寺でしたが、予期せぬカラーのお出迎えに感謝申し上げます。
長岳寺に咲くカラー。
カラーの原産地は南アフリカとされ、英名を calla と言います。弧を描いたブーケのような白い部分が印象的ですが、これは仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞の一種です。カラーの花は、その中にある黄色い棒状の部分です。
見れば見るほど、襟を立てた格好いい紳士淑女を連想させます。
それもそのはず、カラーの名前はその仏炎苞がワイシャツの白い襟(カラー)を想像させることに由来しています。サラリーマン時代、ワイシャツの襟の汚れは気になったものですが、清潔で真っ白なイメージがカラーにはあります。花言葉が「清浄」というのも頷けますよね。
地蔵石佛の背後にカラーが咲いています。
べにうちわと称されるアンスリウムともどこか似た姿をしています。同じサトイモ科に属し、それぞれに仏炎苞を持っているのが特徴です。杜若(カキツバタ)は水辺の環境を好みますが、カラーも水辺の生育に適した植物です。本堂前に広がる放生池にも程近く、カラーにとってはまたとない生育条件なのではないでしょうか。
長岳寺本堂外陣に坐すびんずる尊者。
幾重にも前掛けを纏い、参拝客の信仰の深さがうかがわれます。
本堂前の練塔と、さらにその向こう側には重要文化財の鐘楼門が見えます。
背後からカラーを観察してみるのも面白いですね。その先っぽには髪の毛が一本、にょろっと出ているような印象です。
天理市トレイルセンターに展示されていた三角縁神獣鏡のレプリカ。
山の辺の道の途上にある長岳寺参拝の際、休憩所にもなっている天理市トレイルセンターを訪れる人も多いでしょう。長岳寺から国道169号線を挟んで西側には黒塚古墳が佇みます。三角縁神獣鏡が出土したことで有名ですが、ここ天理市トレイルセンター内でも、古墳にまつわる様々な展示を楽しむことができます。
紫色の杜若に混じって、黄菖蒲(キショウブ)らしき花も咲いていました。
関西花の寺第十九番霊場と言うだけあって、長岳寺境内では様々な種類の花を観賞することができます。花のみてら長谷寺に勝るとも劣らない花の名所です。
参拝客のお目当ても、おそらくその名が知られた「長岳寺の杜若」ではないでしょうか。
そんな主役の杜若を援護するように、ひっそりと本堂の脇に咲くカラーの花。
水辺を好むサトイモの仲間という意味から、「海芋(かいう)」という名前でも知られます。
カラーの向こうに見えているのが、長岳寺の本堂です。
本堂内には、重要文化財に指定される阿弥陀三尊、多聞天・増長天などの仏像が安置されています。秋に催される地獄絵の御開帳もおすすめです。
長岳寺の歴史は天長元年(824)に、淳和天皇の勅願により大和神社の神宮寺として弘法大師が創建したことに始まります。戦艦大和の神社として有名な大和神社ですが、長岳寺は大和神社の神宮寺だったことを知る人はそう多くはないのではないでしょうか。
お寺に咲くカラーは、ピュアで清浄な印象を参拝客に与えていました。
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