吉野ケーブルの吉野山駅を降りて、吉野山の総門である黒門を過ぎた辺りに歯の神様として仰がれる関屋地蔵尊が佇みます。
歯がため関屋地蔵尊。
特に歯の神様を象徴する格好をしているわけではありませんが、昔から歯の悩みを持つ数多くの人々を救ってきたお地蔵様です。
歯の神様といえば、山の辺の道にも歯定神社が祀られています。犬歯を思わせる磐座が印象的な神社で、山の辺の道ハイキングの穴場スポットとして人気を集めています。
歯がため関屋地蔵尊の文字が見えますね。
関屋地蔵尊は弘願寺の境内に安置されており、その造立は室町時代の永正12年(1515)8月15日に遡ります。ちょうどお盆の日に造られた仏像なんですね。
吉野山駅でロープウェイを降り、一路金峯山寺を目指して歩きます。
程なく右手に「関屋桜跡」と刻まれた石標が建っていました。やはりここは吉野山、桜にまつわる名所があちこちに見られます。
黒門が見えて参りました。
「高麗門」とも呼ばれる由緒正しい門です。
この門を通行する際には、馬から下りて通るのが慣わしだったようです。
黒門を抜けて、今来た方向を振り返ります。
反対側から見る黒門にも、格調高い造りが感じられます。
程なく右手に現れるのが弘願寺です。
石段を上がった所に山門を構えます。
歯がため関屋地蔵尊で有名な弘願寺ですが、ご本尊は県指定文化財の阿弥陀如来立像です。
山門を入って進むと、左手に関屋地蔵尊が納まる祠が見えてきます。
思っていたよりも小さいお地蔵さんです。
傍らには歯塚がありました。
「塚」と言うからには、歯のお墓ではないでしょうか。
おそらく信奉者の乳歯や入れ歯が埋葬されているものと思われます。
近づいてよく見てみると、「歯塚」の文字が刻まれています。
現代社会において、歯医者さんはご近所に必ず一軒は存在するものです。コンビニエンスストアの数よりも多いと言いますから、実に便利な世の中です。その一方で、昔の人々は歯が痛くなると頼る人も無く、ただただ神頼みに走っていました。
歯のご利益に授かりたい。
現代人の想像をはるかに超えた、切なる願いがそこにはあったはずです。
奥歯に物が挟まりやすくなった昨今。
デンタルフロスが手放せなくなって参りましたが、ここはひとつ、歯の神様に祈願してみるのもいいかもしれませんね。
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