法事の予約が入っていた当日の朝、運良くヨロリが入荷致しました。
メタリックな黒いボディが特徴の魚で、串本町や那智勝浦町などの和歌山県がその主な産地です。鱧のような鋭い歯を持っており、ナワキリという異名も持ち合わせています。
法宴プラン当日に入荷したヨロリ。
標準和名をクロシビカマスと言います。屋根の上に飾られる、火除けのまじないである鴟尾(しび)が名前の中に入っていますね。ヨロリはスズキ目カマス科に分類される深海魚として知られます。
黒い食材は法事の席によく合います。
黒胡麻を当たり鉢で当たって作る黒胡麻豆腐は法宴プランの定番ですが、ヨロリはいつも入手できる食材ではないだけに、その希少価値は誰もが認めるところです。
ヨロリの塩焼き。
ねっとりとした脂が持ち味の新鮮なヨロリを、お刺身と塩焼きにしてお出し致しました。
ヨロリを料理する際には骨切りが必要になります。骨が唯一の難点と言っても過言ではありません。細かくシュッシュッと包丁を入れていきます。
ヨロリのお腹はこんな感じです。
サヨリと同じように、ずいぶん腹黒いですね(笑)
見た目の黒さとは裏腹に、その中身は綺麗で美味しそうな白身そのものです。
当館の中庭では、目の覚めるような黄色いつわぶきが開花しています。
季節は確実に歩みを進めているようです。
こちらが、脂の乗ったヨロリの刺身。
トロッとした舌触りに喜びが込み上げます。これは旨い!
深海魚というだけあって、大きな目をしています。
下あごがやや出ていますね。
ヨロリ(クロシビカマス)の三枚おろし。
スミヤキ(炭焼き)とも呼ばれる黒いヨロリの体の中は、まるでオセロゲームのように見事な白色です。
ヨロリの旬は9月中旬~11月上旬頃と言いますから、もうそろそろお目にかかれなくなりそうです。
自然の魚にはサイクルがあります。
かの鮪も養殖時代に突入していますが、やはり大海原において自分の力でエサを獲ってきた魚には魅力を感じます。自然の恵みを頂くということは、大変有り難いことだと実感致します。
太刀魚の焼き目酒蒸しなどもよく作りますが、同じようなレシピでヨロリの焼き目酒蒸しなんてのもいいかもしれませんね。
全身写真を見ていると、クロシビカマスという名前に納得します。
限りある資源の中で、自然の魚との共存がこれからも続いていきますように。
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